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「人間として生きること語ること
 三浦綾子「銃口」が現代に語る希望」

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2016.06.24

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「人間として生きること語ること
 三浦綾子「銃口」が現代に語る希望」

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三浦綾子読書会代表・三浦綾子記念文学館特別研究員 森下辰衛氏講演

 6月18日(土)、本学ガウチャー記念礼拝堂において、三浦綾子読書会代表・三浦綾子記念文学館特別研究員 森下辰衛氏による「人間として生きること語ること 三浦綾子「銃口」が現代に語る希望」と題した講演会が開催され、全国各地から集まった約230名が熱心に聴講しました。

 三浦綾子は1964年に小説「氷点」でデビュー。以降、1999年に召されるまで、「私は伝道のために書く」という宣言からブレることなく、夫・三浦光世(2014年召天)と共に約90作品をこの世に送り出したキリスト教文学の代表的作家です。

「銃口」はその最後の長編小説で、パーキンソン病に苦しみながらも「本の窓」の編集長・眞杉章氏から提示された「昭和を背景に神と人間を書いてほしい」というテーマがきっかけとなって書かれた作品です(この時眞杉氏から三浦綾子に宛てた手紙の抜粋が今回の「銃口展」で展示されています)。

治安維持法、北海道綴方教育連盟事件、戦争という昭和の暗部を取り上げつつも、主人公・北森竜太を取り巻く暖かな人間模様を織り交ぜながら、人が人として生きるとはどういうことなのかということを問うています。

 本公演で森下氏は、神の召命により大学教員の座を断ち切って三浦文学を用いた伝道活動に献身した自らの証しも交えながら、「人が神にあって『ばか』になろうとするとき、必ず耳元で『そんなことはできるはずがない』と嘲る者(悪魔)がある。

 しかし神の言葉に希望を持って従った時には、到底想像もしなかった祝福がある」と語り、主人公・北森竜太が辿った思いもよらぬ人生をなぞりつつも、「どんなに八方塞がりと思えるような状態になったとしても、天への窓はいつも空いている」という希望を力強く語られました。

  この講演会は6月14日(火)から三浦綾子読書会主催・本学宗教センター共催でガウチャー記念礼拝堂エントランスホールにて開催されている「銃口」展の一環として行われたもので、三浦綾子「銃口展」は25日(土)の20時まで開催されています。