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宇宙ステーションCALET 観測で重力波源が
ブラックホール合体由来である事を裏付け

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SCHEDULED

2016.10.05

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宇宙ステーションCALET 観測で重力波源が
ブラックホール合体由来である事を裏付け

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国際宇宙ステーション・「きぼう」船外搭載のCALETのX線・ガンマ線観測により、
LIGO検出の重力波がブラックホール合体由来であることを裏付け

国際宇宙ステーション(ISS)に設置された「高エネルギー電子・ガンマ線観測装置(CALorimetric Electron Telescope: CALET)」(研究代表:鳥居祥二教授・早稲田大学理工学術院)が、米国のLIGO(ライゴ)が重力波を検出した同じ時期に、X線・ガンマ線を観測しなかったことにより、LIGO検出の重力波が考察されていたブラックホール合体由来であることを裏付けることができました。
CALETの観測結果をまとめた成果は、米学術誌Astrophysical Journal Letters((2016年9月20日)にオンライン掲載されました。

背景

米国のLIGO(ライゴ)と呼ばれる巨大な観測装置によって、2015年9 月14日に宇宙の彼方からやってきた重力波が世界で初めて検出されました。重力波は、1916年にアインシュタインが一般相対性理論から予言した、時空のゆがみの時間変動が波として光速でつたわる現象です。アインシュタインの予言から約100年もの間にわたり、数多くの検出が試みられてきましたが、やっとこのLIGOによって検出されました。
LIGOのチームは、LIGOの運用開始以前から、重力波が観測された場合の発生メカニズムをより詳細に明らかにするために、重力波と同時発生が推測される電磁波(電波、可視光、X線、ガンマ線など)の観測を他の宇宙観測チームに呼びかけていました。CALETチームはこの呼びかけに応えて、重力波が観測された場合にLIGOのデータとCALETによる解析結果を提供しあう協定(MOU)をLIGOチームと取り交わしました。 
CALETには高エネルギー宇宙線・ガンマ線を観測するカロリメータ(CAL)に加えて、ガンマ線バーストの検出を行うCALET Gamma-ray Burst Monitor (CGBM)が搭載されています。CALETは、国際宇宙ステーション・「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォーム搭載の実験装置として、2015 年8月19日に打ち上げられ、その後、「きぼう」に取り付けら、11月から観測を開始しました。

CALETによる観測成果

LIGOチームが重力波を初観測した9月14日の段階ではまだCALETは初期検証中でした。その後、LIGOチームは、2015年12月26日に2回目の重力波を検出しましたが、丁度このタイミングでCALETは重力波の到来方向と重なる視野で観測を行っていました。そこで、同じタイミングで電磁波のシグナルが検出されていないかどうかを調べましたが、シグナルは検出されなかったのでX線とガンマ線の検出上限値の結果をまとめて、米学術誌Astrophysical Journal Lettersにて9月20日に発表しました。

全天マップ上に CGBM の Hard X-ray Monitor (HXM; 左図) とSoft Gamma-ray Monitor (SGM; 右図)でのX線とガンマ線の検出上限値をカラーコントアで示した。緑色のコントアがLIGOで決まった重力波源の到来方向分布を示す。また、黑斜線で示した領域は国際宇宙ステーションの構造物によって予想される、影部分である。
この観測結果から、カラーコントアで示してある X線とガンマ線の強度より大きい電磁波のシグナルは観測されていない。
LIGOが2回目に重力波を検出した際、その重力波源に対してCALETでは、この上限値以上の電磁波シグナルは観測されなかった。(Adriani et al., ApJL, 829, L20)

全天マップ上に CGBM の Hard X-ray Monitor (HXM; 左図) とSoft Gamma-ray Monitor (SGM; 右図)でのX線とガンマ線の検出上限値をカラーコントアで示した。緑色のコントアがLIGOで決まった重力波源の到来方向分布を示す。また、黑斜線で示した領域は国際宇宙ステーションの構造物によって予想される、影部分である。
この観測結果から、カラーコントアで示してある X線とガンマ線の強度より大きい電磁波のシグナルは観測されていない。
LIGOが2回目に重力波を検出した際、その重力波源に対してCALETでは、この上限値以上の電磁波シグナルは観測されなかった。(Adriani et al., ApJL, 829, L20)

LIGOチームによれば、これまで2回検出された重力波はいずれもブラックホールの合体によるものと考察し、そのケースでは電磁波の検出は難しいことが予測されていましたが、CALETの観測結果はそれを裏付けるのものとなりました。

今後にむけて

今後、LIGOの観測装置の改良型や日本のKAGRAなど、さらに高感度の観測装置が新たに稼働すると、ブラックホールと中性子星や中性子星同士の合体による重力波の観測も可能となります。その場合には同時にガンマ線バーストの発生が期待されています。このため、今後の重力波観測に備えて、CALETによる観測を継続的に行うことにより、重力波発生メカニズムの解明に大きな貢献を果たすことが期待されます

掲載誌

誌名:Astrophysical Journal Letters 829-L20 2016 September 20
タイトル:CALET UPPER LIMITS ON X-RAY AND GAMMA-RAY COUNTERPARTS OF GW151226

CALETとは

「きぼう」船外実験プラットフォームに搭載されているCALETの情報はこちらをご覧ください。

2016.9.28
CALETチーム代表研究者 早稲田大学理工学術院 鳥居祥二
CGBM検出器責任者 青山学院大学理工学部  吉田篤正

●研究内容について
青山学院大学 理工学部 物理・数理学科 助教 坂本貴紀
TEL: 042-759-6275 E-mail: tsakamoto@phys.aoyama.ac.jp
早稲田大学 理工学術院 教授 鳥居祥二
TEL:03-5286-3090 E-mail:torii.shoji@waseda.jp
●報道について
国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
有人宇宙技術部門 ISS/きぼう広報情報センター
お問い合わせフォーム(JAXAホームページ内) https://ssl.tksc.jaxa.jp/iss/help/