TOP
シュー土戸 ポール<br>学院宗教部長

シュー土戸 ポール
学院宗教部長

本場のブラック・ゴスペルが青山学院で披露される
~音楽を通じた国際交流の実現~

5月29日から31日まで、米国テキサス州ワイリー・カレッジ(WileyCollege)のゴスペル・クワイア(聖歌隊)が来校し、素晴らしいゴスペル・ミュージックを通して青山学院の園児・児童・生徒・学生と交流を持ちました。ワイリー・カレッジのゴスペル・クワイアは、ホワイトハウスで歌ったり著名な歌手と協演したりするなど、米国では高く評価されているクワイアです。今回は初めての海外演奏旅行でした。

ゴスペル・クワイアは、5月24日から広島で開かれたIAMSCU国際大会に参加し、カンファレンス聖歌隊として奉唱するために日本に招かれました。ワイリー・カレッジは青山学院と同じようにIAMSCU(メソジスト関係学校国際同盟)の加盟校です。広島でもすばらしい歌声を響かせ、カンファレンス参加者を魅了しました。5月25日にカンファレンスの開会式に参加した仙波憲一大学学長は、東京に帰って来た後、その奉唱を絶賛していました。

今回の演奏旅行には、聖歌隊隊員100名のうち約20名のみが来日しました。全員のメンバーにとって、この旅行は初めての来日というだけではなく、初めての海外旅行でもありました。「今回のような音楽によるミニストリーへの参加は、新たな友情関係の構築の種をまくこととなり、より幅広い社会的・文化的思考を尊重することへと繋がるでしょう」と、ワイリー・カレッジの学長であり理事長であるDr. Haywoodは述べられました。

南部ブラック・カレッジの伝統
ワイリー・カレッジはいわゆるHistoric Black College (HBC)であり、アフリカ・アメリカ人の文化と伝統を誇りとしています。米国南北戦争後、解放された黒人のために多くの新しい学校が設立されました。特に、当時のメソジスト教会はこのFreemans Education 運動( 解放された奴隷のための教育運動)に積極的に参加し、数多くの学校を設立しました。現在、その中から12大学がHBCの伝統を受け継ぎ、優れた高等教育を提供しています。

ワイリー・カレッジの学生は、青山学院の歴史について少し学んだ時その共通点に感銘を受けていました。青山学院が設立された1年前の1873年にワイリー・カレッジが設立されたという共通点だけではなく、女子教育から始まった青山学院の教育も、それまでに教育を受ける機会があまりなかった人達(当時の日本の女性)のためでした。青山学院本部棟の前でスクーンメーカー宣教師のレリーフを見た時に、ワイリーの学生は言いました。「この宣教師がワイリー・カレッジを設立した人達と同じ精神、同じ信仰を持っていたことを考えると、青山学院がワイリーの姉妹校のように感じます」。

言うまでもなくワイリー・カレッジでゴスペル・クワイアは中心的な存在であり、これ以上本格的なブラック・ゴスペルは存在しません。聖歌隊は黒人霊歌から現代のポピュラーな曲まで幅広いジャンルの歌を歌っていますが、ブラック・ゴスペルがその核になります。ワイリーで平日は毎日練習をし、定期的に礼拝で奉唱しています。

初等部礼拝における奉唱
ワイリー・カレッジの学生は、30日の朝に初等部の礼拝で奉唱をしました。私が礼拝を担当し、通訳をいたしました。両言語での解説が入る音楽礼拝で、初等部礼拝堂にはブラック・ゴスペルが響きわたりました。児童は、わくわくした表情で一生懸命聴いていました。

しかし、この礼拝での音楽に感銘を受けたのは子ども達だけではありませんでした。児童が声を合わせて讃美歌を歌った時、ワイリー・カレッジの学生も子ども達の純粋さとパワーに感銘を受けました。涙を流す人がいる程深く心をゆさぶりました。礼拝が終わり退場した際、礼拝堂ロビーにおいて、子ども達は大きな笑顔でワイリー・カレッジの学生と個人的に挨拶することができました。

英語科の教員である桑原ジュリア先生は、次のように感想を述べています。「ワイリーのクワイアを初等部の礼拝に連れて来て下さって本当に嬉しく思います。クワイアの歌は素晴らしく、礼拝後も子ども達は幸福感で輝いていました。礼拝後、10歳ぐらいの子ども達が私に、"Sensei,wasn't it great?"!"Did you hear thesinging?"と自ら話しかけてくるのは珍しいことです。私達の生徒が、礼拝においてこのような意義深い、国際的な異文化経験をすることは、素晴らしい経験であったと思います」。

幼稚園児との出会い
ワイリー・クワイアは、初等部での奉唱後、青山学院のツアーを計画していましたが、ガウチャー記念礼拝堂とその前で幼稚園の年長組の子ども達と交流の機会を持ちました。お互いに英語と日本語で挨拶した後、言語による交流の限界に達したようでした。しかし、その時にガウチャーの前でお互いに歌を分かち合い、言語を超えるコミュニケーションをとることができました。まずワイリー・カレッジの学生が歌を歌い、園児達が上手に音楽のお返しをしました。園児も大学生も、お互いの贈り物に興奮し、非常に喜んでいました。

幼稚園主事の石橋エリ先生は、次のように表現しました。「子ども側ではワイリー・カレッジのパワフルな賛美の歌声に目を丸くして聴いていましたが、しばらくするとそれが笑顔に変わって、みんなが非常に嬉しくなりました。最後にハイタッチしたり、握手をしたりして素晴らしい国際交流になりました」。

合同コンサート
金曜日の夕方には、ワイリー・カレッジのクワイアのゴスペルコンサートがガウチャー記念礼拝堂で開催されました。大学ゴスペル・クワイアが協力し、ガウチャーはほぼ満席になりました。日本ではもちろん、海外に行ってもなかなか聴くことのできない素晴らしいブラック・ゴスペルの演奏会でした。歌い方、声の迫力、盛り上がり方などは、感動的でした。非常に静かな歌い方の中にも、驚くほどのパワーを感じることができました。

本学の大学ゴスペル・クワイアはプログラム中に2曲を歌いました。客席のワイリー・カレッジの学生が聴きながら盛り上がるなど、会場は熱気に包まれました。

ワイリー・カレッジ4年生のアリシア・アモスさんは、「今回日本に来て、様々な国、文化、民族の人々に会うことができた経験は素晴らしいものでした。いつか将来、この経験を自分の子ども達に語って聞かせることを楽しみにしています」と述べています。