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【AG150】「青山学院を支えた人々~漫画で描くサーバント・リーダー~」企画展示

「青山学院を支えた人々~漫画で描くサーバント・リーダー~」



企画紹介ポスター
企画紹介ポスター

創立150周年を記念し、青山学院の黎明期を支えた10名の人物を漫画で紹介したパネルの企画展示を開催しました。

この企画展示が終わり、漫画パネルは、2025年5月にオープンした青山学院ミュージアム(間島記念館2階多目的ラウンジ)にて、常設展示しています。

在学生の皆さんをはじめ、教職員、保護者、一般の方のご来場をお待ちしています。
ぜひ足をお運びいただければ幸いです。

青山学院ミュージアムでの常設展示青山学院ミュージアムでの常設展示 漫画パネルとあわせて展示している「人物相関図」
青山学院ミュージアムでの常設展示青山学院ミュージアムでの常設展示 漫画パネルとあわせて展示している「人物相関図」

企画展示紹介

展示では、青山学院の黎明期を支えた人々から10名を選び、それぞれA1サイズのパネルでその人物の「想い」を漫画という芸術作品に描き、学院の生い立ちを紹介します。

これらの作品は、漫画家・岸本斉史氏が約1年をかけて、一人ひとりを丁寧に表現してくださったもので、青山学院が今昔において教育の礎に置く「サーバント・リーダー」の姿が、当時の時代背景とともに紹介され、人間味あふれる登場人物として力強くも繊細に描かれています。

パネルには、青山学院の源流となる3つの学校を創設したドーラ・E・スクーンメーカー氏、ジュリアス・ソーパー氏、ロバート・S・マクレイ氏、これらがひとつとなって青山の地での発展に貢献したジョン・F・ガウチャー氏、宣教師を深く理解し、支え続けた津田仙氏、政府の宗教教育禁止令から生徒の学びの場を守り抜いた本多庸一氏、その意思を引き継いで人と社会に仕えた米山梅吉氏、間島弟彦氏、勝田銀次郎氏、万代順四郎氏、10名が登場します。

巡回展示

2024年9月16日の大学同窓祭を皮切りに、約7か月の時間をかけて幼稚園から大学までの設置学校及び創立記念式典にて巡回展示を行いました。

展示では、在校生だけでなく、保護者や教職員、学校見学者や校友など多くの方々がパネルのひとつひとつに足を止め、うなずきながら見入る姿が見られました。

通常、出来事に焦点を当てて歴史を紹介することが多いなか、歴史と漫画を組み合わせた新しい世界観で、青山学院が大切にしてきた互いを支え合う心や人物の“想い”を多くの方々に知っていただく貴重な機会となりました。

来場者からは「創設に関わった人たちが自らの使命を深く理解し、進んで人の為に仕える姿に感銘を受けた」、「人物が人間味にあふれていて、ドラマティックに展開されている。一人ひとりが朝ドラに取り上げられても良い内容なのでは」など多くの反響が寄せられました。

この企画が伝えたい、「青山学院の歩みが、人と人、その想いと想いのつながりにあったこと」に共感いただけたものと思います。

広々とした空間に設置されたパネル(大学:万代記念図書館)広々とした空間に設置されたパネル
(大学:万代記念図書館)
漫画の物語に共感する生徒たち(中等部)漫画の物語に共感する生徒たち
(中等部)
創立記念式典の際にパネルを鑑賞する親子親子で鑑賞
(創立記念式典)
大学同窓祭でひとつひとつのパネルに見入る校友とご家族ひとつひとつのパネルに見入る校友とご家族
(大学同窓祭)
広々とした空間に設置されたパネル(大学:万代記念図書館)広々とした空間に設置されたパネル
(大学:万代記念図書館)
漫画の物語に共感する生徒たち(中等部)漫画の物語に共感する生徒たち
(中等部)
創立記念式典の際にパネルを鑑賞する親子親子で鑑賞
(創立記念式典)
大学同窓祭でひとつひとつのパネルに見入る校友とご家族ひとつひとつのパネルに見入る校友とご家族
(大学同窓祭)
展示期間 / 場所
幼稚園 2024年12月5日~12月13日 幼稚園礼拝室前
初等部 2024年11月20日~12月4日 初等部校舎内各所
中等部 2025年1月23日~2月14日 中等部校舎1階
高等部 2025年1月10日~1月21日 高等部校舎1階
大学(青山キャンパス) 2025年3月24日~4月8日 18号館(マクレイ記念館)2階
大学(相模原キャンパス) 2024年12月17日~2025年1月7日 万代記念図書館1階
大学同窓祭 2024年9月16日(AOYAMA GREEN FESTIVAL 2024) 18号館(マクレイ記念館)1階
創立記念式典 2024年11月16日 青山学院講堂2階
幼稚園 2024年12月5日~12月13日 幼稚園礼拝室前
初等部 2024年11月20日~12月4日 初等部校舎内各所
中等部 2025年1月23日~2月14日 中等部校舎1階
高等部 2025年1月10日~1月21日 高等部校舎1階
大学(青山キャンパス) 2025年3月24日~4月8日 18号館(マクレイ記念館)2階
大学(相模原キャンパス) 2024年12月17日~2025年1月7日 万代記念図書館1階
大学同窓祭 2024年9月16日(AOYAMA GREEN FESTIVAL 2024) 18号館(マクレイ記念館)1階
創立記念式典 2024年11月16日 青山学院講堂2階

スタンプラリーと小冊子の配付

重ね捺しスタンプラリー

展示とあわせて、幼稚園、初等部、中等部の在校生を対象にスタンプラリーを開催。版画の様に6つの版を重ねて押すと、1枚の絵が完成する「重ね捺しスタンプ」に、多くの子どもたちが目を輝かせてスタンプラリーポイントを巡る姿が見られました。

初等部の児童が一つひとつのスタンプを丁寧に重ねます一つひとつのスタンプを丁寧に重ねます 漫画の物語にふれて笑顔がこぼれる初等部の児童漫画の物語にふれて笑顔がこぼれます
休み時間にスタンプラリーに並ぶ子どもたち休み時間にスタンプラリーに並ぶ子どもたち 立ち止まって見入る子どもたち立ち止まって見入る子どもたち
初等部の児童が一つひとつのスタンプを丁寧に重ねます一つひとつのスタンプを丁寧に重ねます 漫画の物語にふれて笑顔がこぼれる初等部の児童漫画の物語にふれて笑顔がこぼれます
休み時間にスタンプラリーに並ぶ子どもたち休み時間にスタンプラリーに並ぶ子どもたち 立ち止まって見入る子どもたち立ち止まって見入る子どもたち
小冊子の配付

同時に、幼稚園から高等部までの在校生を対象にパネルの内容をまとめた小冊子を配付。小冊子では、登場人物10名の相関図も作成し、それぞれの人物の関係性を一目でわかりやすくまとめました。

この冊子は、自校史の授業にも役立てられ、子どもたちが青山学院の歴史に関心を寄せ、よりサーバント・リーダーへの理解を深める豊かな学びの機会となりました。



6つの重ね捺しスタンプで完成したデザイン
6つの重ね捺しスタンプで完成したデザイン

パネルができあがるまで(制作にあたって)

はじまり

パネル制作の始まりは2022年9月に遡ります。創立150周年記念企画を学内で公募したところ、 「漫画青山学院史~マンガで読む150周年~」というタイトルのアイデアが応募されました。この企画は、子どもから大人までが学院の歴史を漫画で楽しく学び、身近に感じてもらうことを目的としたものでした。

では、150年という青山学院の歩みを、漫画でどう表現すればよいのでしょう?

まず、資料センター(現:ミュージアム事務室)へ相談したところ、出来事ではなく、人物にフォーカスした方が親しみやすいのでは、とのアドバイスをいただきました。
さらに、ちょうど、2025年5月に開館するミュージアムでは、サーバント・リーダー・ルームで何名かの貢献者を紹介する構想があるとの情報も得ました。

このミュージアムに、漫画のパネルもあわせて展示することで、より子どもたちに親しみやすく、また、想像力と創造力が広がるのでは?と考え、手探りではありましたが、ここから「漫画青山学院史」の企画がスタートしました。

企画立案とWGの立ち上げ

その後、少しずつ企画立案を進め、青山学院の黎明期を支えた人々10名について、それぞれ1枚の大型パネルを制作すること、それを全ての設置学校にて巡回展示し、最後にミュージアムで常設展示することなどのフレームワークを決めました。そして、2023年10月、「漫画青山学院史ワーキンググループ(以下WG)」を発足。WGメンバーは、部署の壁を超えて、この企画にうってつけのバックグラウンドを持つ4名の事務職員で構成されました。

漫画制作に向けた企画書の作成と打ち合わせ

WGでは、パネルに登場する10名の人選に始まり、それぞれの人物に関するあらゆる資料を収集。学院史研究所からは各人物にまつわるエピソードも提供いただけました。

この資料をもとに、漫画家・岸本斉史氏に漫画を描いていただくための、企画書作成に取り掛かりました。一人ひとりの人生のストーリーや人となり、何を想っていたのかを資料から読み取り、WGでは、その人の何を一番伝えたいか、どう伝えたいかを深く掘り下げました。そして、そこから見せたいシーンやキャラクター、人物を一言で表すキャッチコピーを設定し、エピソードも含めて企画書に仕上げていきました。人を描くということの難しさと楽しさを実感しました。

こうして、一から作成した企画書をもとに、岸本氏との打合せを十数回にわたり行いました。



人物ごとに作成した企画書及び略歴資料、参考写真
人物ごとに作成した企画書及び略歴資料、参考写真

漫画制作と監修

岸本氏は、1人につきパネル1枚という制限のなか、全10名それぞれの人物の想いを真摯に受け止め、表情やしぐさ、セリフの一つひとつを繊細に表現してくださいました。

サーバント・リーダーの「想い」が圧倒的な迫力で蘇り、人間味あふれる登場人物とともに青山学院の生い立ちを辿れる作品が生み出されました。
青山学院にこの貴重な作品を与えていただいたこと、岸本氏の多大なるご尽力に深く感謝いたします。

この漫画を収録したパネルや小冊子には、それぞれの人物にかかわる略歴やエピソードの説明文もあわせて掲載。これには、初等部の先生方にもご協力いただき、小学3年生以上で習う漢字のすべてににルビをふり、子どもたちが興味を持って読んでもらえるよう文章を工夫しました。

制作にあたっては、伊藤悟 学院宗教部長ならびに小林和幸 学院史研究所所長、学院史研究所 日向玲理助教、佐藤大悟助教、土肥歩准教授に監修を務めていただきました。そして編集にあたり、多大なご協力をいただきました株式会社集英社のご担当者様にも改めて感謝いたします。

企画を通じて伝えたかったこと

青山学院がこの150年間続いてきた年月は、多くの困難を先人たちが力を尽くし乗り越えてきた歴史です。それは現在、そしてこの先の未来にもつながっています。

未来を生きる子どもたちに、パネルを通じて、新しい世界観で青山学院の生い立ちを辿っていくと同時に、神と人に仕える姿と、それらの「想い」がつながり合って創られた歴史であることを感じていただければと願っています。



それぞれの人物より作成したキービジュアル
それぞれの人物より作成したキービジュアル

  • 《資料協力》

    米山梅吉記念館 様
    青山学院ミュージアム
    青山学院史研究所

  • 《参考資料》

    「青山学院一五〇年史 通史編Ⅰ」 青山学院 2023
    「青山学院一五〇年史 資料編Ⅰ」 青山学院 2019
    「青山学院一二〇年 1874~1994」 青山学院 1996
    「写真に見る青山学院150年」 青山学院 2024
    「青山学報」267号 「明治初年 青山学院指導者の女子教育へのまなざし~ソーパー博士の回顧談から~ 」 青山学院 2019
    「青山学報」146号「初代マクレイ院長」 青山学院 1989
    「青山学報」71号「古坂先生と初代院長R・Sマクレイ博士のこと」 青山学院 1974
    「AGUニューズ」2012.6月号「キャンパスで出会う青山学院の先人たち」 青山学院大学
    「青山学院 by AERA すべての人と社会のために」 青山学院 朝日新聞出版 2014
    「青山学院を支えた人々」 氣賀健生 青山学院 2014
    「しなやかに夢を生きる 青山学院の歴史を拓いた人 ドーラ・E・スクーンメーカーの生涯」 棚村恵子 青山学院 2004
    「女性宣教師の日本探訪記 明治期における米国メソジスト教会の海外伝道」 齋藤元子 新教出版社 2009
    「恩師ソーパル博士」 關根要八 三豊社 1938
    「マクレイ博士伝」 マクレイ博士伝編集委員会編 青山学院 1959
    「キリスト教大学の使命と課題-青山学院の原点と21世紀における新たなる挑戦-」 青山学院大学 教文館 2011  (青山学院大学総合研究所叢書)
    「John Franklin GOUCHER~CITIZEN OF THE WORLD~」 Marilyn Southard Warshawsky 2016
    「津田仙評伝 : もう一つの近代化をめざした人」 高崎宗司  草風館 2008
    「津田仙 : 明治の基督者」 都田豊三郎  日本キリスト教団九段教会  1972
    「津田仙と朝鮮 : 朝鮮キリスト教受容と新農業政策」 金文吉 世界思想社 2003
    「津田仙翁略傳 : 昭和33年4月26日津田家記念会の日に」 津田昇編  1958
    「評伝 勝田銀次郎」 松田重夫 青山学院資料センター編  青山学院 1980
    「陽明丸と800人の子供たち」 北室南苑 並木書房  2017
    「本多庸一伝 : 伝記・本多庸一」 岡田哲蔵 大空社 1996
    「力を与えませ : 本多庸一夫人貞子の生涯」 井上ゆり子  青山学院 2004
    「本多庸一 : 信仰と生涯」 氣賀健生 青山学院『本多庸一』編集委員会編 教文館 2012
    「本多庸一物語  The story of Yoitsu Honda 」 弘前学院編  弘前学院  2016
    「本多庸一先生と阿部義宗先生 : 阿部義宗先生の米寿記念礼拝の説教」 都田恒太郎 1975
    「キリスト教学校教育同盟百年史」 キリスト教学校教育同盟百年史編纂委員会編 教文館  2010
    「小伝 間島弟彦」 資料センター編  青山学院  1977
    「米山梅吉の一生」 三戸岡道夫  栄光出版社  2009
    「米山梅吉ものがたり 日本のロータリークラブ創設者 奉仕の心で社会を拓く」 柴崎由紀 鎌倉: 銀の鈴社 2019
    「無我の人米山梅吉」 内田稔 秀建築設計事務所 1985
    「点描米山梅吉 : 日本のロータリークラブと信託業の創始者」 谷内宏文 新風舎 2005
    「米山梅吉と日本のロータリー : 昭和五十三年ニ月四日の米山梅吉生誕記念日を前にして」 長井盛至 1977
    「米山梅吉傳」 米山梅吉先生伝記刊行会 1960
    「在りし日 : 人としての万代順四郎」 佐々木邦編  万代トミ 1964
    「種蒔く人 : 万代順四郎の生涯」 石川英夫 毎日新聞社 1984
    「アオガクプラス 津田梅子の父、津田仙と青山学院」 2019
    「アオガクプラス キリスト教教育禁止令に立ち向かった院長、本多庸一 」 2020
    「アオガクプラス 難民「ウラルの子供たち」を救った義人 勝田銀次郎」 2021
    「アオガクプラス 復興の祖 万代順四郎」 2022
    「Aoyama Gakuin Archives Letter」 9号、20号、21号、26号、27号、28号
    「青山学院草創期におけるキリスト教女子教育をめぐる一考察―「海岸女学校」卒業生松本英子にみる新しい女性の生き方を中心に―」 小林瑞乃 『青山学院女子短期大学総合文化研究所年報』(第29号) 2021
    「奉仕の人 米山梅吉 ~その生い立ちと人となり~」 公益財団法人 米山梅吉記念館 WEBサイト 
    「米山記念奨学会の誕生」 公益財団法人ロータリー米山記念奨学会 WEBサイト
    「神戸と難民たち 勝田銀次郎と陽明丸」 神戸の近現代史 神戸市WEBサイト
    「佐倉市の学校給食について 津田仙とのかかわり」 佐倉市WEBサイト
    「Sony History」 第5話株式の上場と万代会長の死 ソニーグループ株式会社WEBサイト